30秒でわかる結論:おすすめは「反応の予想」で決まる
先に結論をお伝えします。Xのおすすめは、ざっくり言うと「この投稿を見せたら、あなたは反応しそうか?」をコンピュータが予想し、その予想が高い投稿から順に並べる仕組みです。ここで言う反応とは、いいね・返信・リポスト(拡散)・じっくり読む、といった動きのことです。
大事なのは、フォローしている人の投稿だけが出るわけではない、という点です。公開されている説明書(README)には、フォロー中の投稿と、フォロー外から見つけてきた投稿を混ぜて並べ替える、とはっきり書かれています。つまり、フォロワーが少なくても、反応されそうだと予想されれば、知らない人のおすすめに出る可能性はあります。
もうひとつ。この予想には、いまのXでは「Grok(グロック)」というAIをもとにしたモデルが使われています。ここから、その中身を順番にほどいていきましょう。
おすすめができるまでの4ステップ
公開コードの説明書を読むと、おすすめは大きく「候補を集める→ふるいにかける→点数をつける→最後のチェック」という流れで作られていることがわかります。まずは下の表で全体像をつかんでください。
ステップ1:候補を集める
最初に、あなたに見せる「候補」になりそうな投稿を広く集めます。ここには2種類あります。フォローしているアカウントの投稿(イン・ネットワーク)と、フォローしていないアカウントの投稿(アウト・オブ・ネットワーク)です。フォロー外の投稿は、AIが「この人の好みに合いそう」と探し出してきます。この段階では、まだ順番は決まっていません。まずは幅広く集めるのが仕事です。
ステップ2:ふるいにかける
集めた候補を全部見せるわけではありません。点数をつける前に、明らかに向かない投稿を先に外します。公開コードには、重複した投稿・古すぎる投稿・自分自身の投稿・ブロックやミュートした相手の投稿・ミュートしたキーワードを含む投稿を取り除く、と書かれています。ここで一度、候補がしぼられます。
ステップ3:点数をつける
ここが心臓部です。残った投稿1件ごとに、「あなたが反応しそうか」を予想して点数をつけます。この予想を担うのが、Grokをもとにしたモデルです。点数の付け方は次の章でくわしく見ます。
ステップ4:最後のチェック
点数の高い順に上から選び、最後にもう一度チェックします。表示してよい内容か、同じような投稿が重なっていないか、といった確認です。X公式ヘルプでも、有害・攻撃的・スパム的な内容は表示前にフィルタする、と説明されています。こうして残ったものが、あなたの画面に並びます。
点数はどうつく?「反応の予想」の足し算
点数のつけ方には、はっきりした形があります。公開コードの説明書には、最終スコアを「それぞれの行動の“起きそうな確率”に、重みを掛けて合計したもの」として表しています。式で書くと「点数 = (行動Aの起きやすさ × 重み)+(行動Bの起きやすさ × 重み)+ …」というイメージです。
むずかしく見えますが、考え方はシンプルです。モデルはまず、投稿ごとに「この人はいいねしそうか」「返信しそうか」「リポストしそうか」といった、いろいろな反応の起きやすさを予想します。そして、それぞれに重み(重要度)を掛けて足し合わせ、1つの点数にまとめます。この点数が高い投稿ほど、上に表示されやすくなります。
では、どんな反応を予想しているのでしょうか。現行の公開コードには、予想している行動の種類が一覧で載っています。主なものを、意味と「点数にとってプラスか、マイナスか」で整理しました。
注目したいのは、プラスの反応だけでなく、マイナスの反応も予想している点です。「ブロックされそう」「報告されそう」と予想される投稿は、点数が下がる向きに働くと考えられます。つまり、無理に目立とうとして不快がられる投稿は、かえって伸びにくくなる設計になっている、と読み取れます。じっくり読まれる(滞在)ことも予想の対象に入っているので、最後まで読みたくなる中身かどうかも効いてきそうです。
コードで分かること・分からないこと
公開コードは便利ですが、「全部わかる魔法の書」ではありません。読み取れることと、読み取れないことを、はっきり分けておきましょう。ここを混ぜないことが、攻略情報に振り回されないコツです。
とくに大事なのが、いちばん下の「公開コード=実際の動きと完全に同じとは限らない」という点です。会社が公開しているものと、サーバーで実際に動いているものが、細部までぴったり一致している保証はありません。だからこの記事でも、確かめられた流れは事実として説明し、数字や細部の断定は避けています。「どこまで公開されたのか(公開の範囲そのもの)」という話は、別の記事Xのオープンソース化はどこまで?で整理していますので、あわせてどうぞ。
2023年の公開コードと何が変わった?
実は、Xが推薦アルゴリズムを公開したのは今回が初めてではありません。2023年にも一度、コードが公開されています。当時のものと今のものを見比べると、変化がよくわかります。
2023年に公開されたコード(twitter/the-algorithm)では、フォロー中の投稿を探す「Earlybird(アーリーバード)」という仕組みがあり、その説明書には、候補のおよそ半分がここから来る、と書かれていました。並べ替えには「Heavy Ranker(ヘビーランカー)」というニューラルネットワーク(データから規則性を学ぶ仕組み)が使われ、ほかにも興味の近いユーザーをまとめる部品や、投稿の安全性をチェックする部品など、役割ごとにたくさんの部品が組み合わされていました。
いまのコード(xai-org/x-algorithm)では、この「点数をつける頭脳」の部分が、GrokというAIをもとにしたモデルに置きかわっています。説明書には、このモデルの土台がxAIの公開したGrokの技術から来ていると書かれています。大きな流れ(候補を集めて、絞って、点数をつけて、見せる)は共通していますが、中心のモデルが新しくなった、というのが2023年からの一番の変化です。なお、2つのコードは公開の条件(ライセンス)も違い、2023年のものと現行のものでは、利用・改変してよい範囲が異なります。
仕組みを知ると、投稿はどう変わる?
ここまでの内容を、明日からの投稿にどう生かせるでしょうか。テクニックというより、「向き合い方」のヒントとして3つにまとめます。
そして、これらはあくまで「そう読み取れる」という話で、「これをやれば必ず伸びる」という保証ではありません。実際の表示は一人ひとりの反応で変わります。仕組みを知る目的は、攻略というより、思い込みで焦らないための土台づくりだと考えるのがおすすめです。投稿づくりそのものの手順はX投稿のプロンプト、運用全体のどこにAIを使うかはX運用のAI活用ガイドで解説しています。
よくある質問
アルゴリズムのコードを読めば投稿は伸びますか。
コードは仕組みを理解する材料にはなりますが、それだけで投稿が伸びるとは限りません。実際の表示は日々のデータや一人ひとりの反応で決まり、コードを読んでも同じ結果を再現できるわけではないためです。仕組みを知るのは、思い込みで振り回されないために役立つ、と考えるのが現実的です。
「いいねは◯倍」といった数字は本当ですか。
公開されているコードからは、各行動の確率に重みを掛けて合計するという式の形は読み取れます。ただし、その重みの具体的な数値まで確かめられる形では確認できませんでした。ですから「いいねは何倍」のような具体的な倍率は、当てにしすぎないほうが安全です。
フォロワーが少ないと、おすすめには出ませんか。
出ないとは限りません。おすすめには、フォロー中の投稿だけでなく、フォロー外から見つけてきた投稿も混ざる仕組みになっています。フォロワー数だけで表示が決まるわけではなく、投稿への反応など複数の材料が使われます。
この記事はいつ時点の情報ですか。
2026年7月19日に、公式リポジトリの説明書(README)とX公式ヘルプを確認した内容です。仕組みは更新されることがあるため、公式リポジトリの大きな更新があれば、おおもとの情報を優先して直します。
検証日と更新方針
この記事は2026年7月19日に確認した内容です。おすすめの仕組みは、今後モデルや部品が入れ替わる可能性があります。公式リポジトリの説明書が大きく更新されたときや、全コードの公開が実際に行われたときは、おおもとの情報を優先して本文と最終確認日を直します。数値や細部は、確かめられた範囲だけを説明し、断定は避けています。
「どこまで公開されたのか」という現在地はXのオープンソース化はどこまで?、仕組みを踏まえた投稿づくりはX投稿のプロンプトで続けて読めます。事実の扱い方は編集方針もご覧ください。